ゴールデンサークル理論は、マーケティングコンサルタントのサイモン・シネック(Simon Sinek)氏が提唱しました。2009年に「TED Talks」で「優れたリーダーはどうやって行動を促すのか」というタイトルでプレゼンし、広く知られるようになりました。

ゴールデンサークル理論の定義
ゴールデンサークル理論(Golden Circle Theory)は「人と組織が人を惹きつけるために必要な3層構造の考え方」です。
この三層構造は、以下の図に示すように「WHY」「HOW」「WHAT」で構成されています。

WHY(なぜ)
あなたはなぜそれをするのか?
= あなたの信念、情熱、存在理由(Purpose)
HOW(どうやって)
どんな方法や価値観、強みでそれを実現するのか?
= 差別化ポイント、手法、哲学、行動の型
WHAT(何を)
何を提供するのか?
= サービス、商品、コンテンツ、行動そのもの
大半の組織や個人がWHAT→HOW→WHYの順番で考え、行動し、コミュニケーションを図っています。
私たちは自分のWHATは説明できます。時にはHOWも説明できます。ところが、WHYを説明することはめったにありません。
組織は自社の製品やアイデアの方が優れている理由を合理的に論じることで製品に具体的な特色を持たせ、利益を上げようとします。
正しい順番は、WHY→HOW→WHATです。WHY→HOW→WHATの順番で考え、行動し、コミュニケーションを図りますと、人を惹きつけます。
ゴールデンサークル理論のメカリズム
生物とのつながり
WHYとHOWは大脳辺縁系に相当します。信頼と忠誠心といった感情の機能を司ります。意思決定の機能を司りますが、言語機能を司りませんので、説明が難しいです。
たとえば「なぜ今の相手と結婚したのですか?」と聞かれたとき、多くの場合、後付けの理由を説明することが多いものです。しかし、本当の理由は自分でもうまく言語化できないことが少なくありません。
WHATは大脳新皮質に相当します。合理的で分析的な思考や言語機能を司ります。意思決定を下した理由を説明できます。
ただし、決断はWHY(感情)を起点に生じます。

組織とのつながり
ゴールデン・サークルは組織における場合、円錐形を上からみたものに該当します。
組織のトップのリーダーがWHYを決めます。
幹部レベルがWHYを実現するHOWを考えます。
現場の従業員がWHATを実行します。
「夢を語る人」(創業者・夢想家・楽観主義者)のそばには「計画を立て、実行する人」(実務家・現実主義者)がいます。
出所:「WHYから始めよ!」サイモン・シネック

ゴールデンサークル理論の活用
マーケティングにおけるゴールデンサークル理論の活用
下記の2つのパソコンのコマーシャルがありますが、あなたならどちらを購入したいですか?
WHYから説明している例
現状に挑戦し、他者とは違う考え方をする。それが私たちの信条です。
製品を美しくデザインし、操作法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすること
で、私たちは現状に挑戦しています。
その結果、すばらしいコンピューターが誕生しました。
一台、いかがですか?
WHYから説明している例
現状に挑戦し、他者とは違う考え方をする。それが私たちの信条です。
製品を美しくデザインし、操作法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすること
で、私たちは現状に挑戦しています。
その結果、すばらしいコンピューターが誕生しました。
一台、いかがですか?
WHYを曖昧にしている企業は、低価格、特長の数、
サービスや製品の品質といった操作で差異化をはかり、勝負せざるをえなくなりません。
まとめ
ゴールデン・サークルをうまく働かせるには、WHYだけではなく、パズルのビースそれぞれが正しい順番に並び、バランスを取る必要があります。
まずはWHYを明確にします。
次に、WHYを現実のものにするための方針・方法であるHOWを考えます。
そして、WHATはあなたが言うこと、することの全てです。製品、サービス、マーケティング、PR、文化、雇用する人材など。
消費者が企業のWHATではなく、WHYを買っているなら、その全てに一貫性があるべきです。
自分の信条(WHY)を伝える唯一の方法は自分の言動(WHAT)です。
消費者に見えるのはWHATだけです。
最後の問い
あなたやあなたの組織のWHY(目的・信条・信念)は何ですか?
あなたやあなたの組織のWHYを具現化できるWHATはどんなものですか?

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